売上はあるのに資金繰りが苦しいのはなぜ?
運送会社の経営者からよく聞く悩みがあります。
「決算では黒字なのに、なぜかお金がない」
「仕事は増えているのに資金繰りが楽にならない」
実はこれは珍しいことではありません。
黒字=お金が増える
とは限らないからです。
今回は、運送会社が黒字なのにお金が残らない理由について解説します。
黒字と現金は別物
まず理解しておきたいのは、
利益と現金は違う
ということです。
例えば、
- 売上 1億円
- 経費 9,500万円
なら
利益は500万円です。
しかし、
その500万円がそのまま会社の口座に残るわけではありません。
理由① 車両購入にお金が出ていく
運送会社では車両投資が欠かせません。
例えば、
大型トラック1台
2,000万円
で購入した場合、
会計上は一度に経費になりません。
減価償却として数年に分けて計上されます。
しかし、
実際のお金は購入時に大きく出ていきます。
つまり、
利益は出ているのに現金は減る
という現象が起きます。
理由② 売掛金の回収が遅い
運送業界では、
荷物を運んでから入金まで
30日~90日程度
かかることも珍しくありません。
例えば、
今月100万円分運んでも、
入金は翌月末。
その間も、
- 燃料代
- 給与
- 高速代
は支払わなければなりません。
仕事が増えるほど資金繰りが苦しくなることもあります。
理由③ 燃料費が先払い
運送会社では軽油代が大きな支出です。
特に燃料価格が高騰すると、
利益が出ていても現金が先に減ります。
近年は原油価格の変動も大きく、
資金繰りへの影響が無視できません。
理由④ 人件費の増加
2024年問題以降、
- ドライバー確保
- 賃上げ
- 福利厚生改善
が重要になっています。
人件費は毎月確実に発生するため、
採用や給与改善を進めるほど現金支出は増加します。
理由⑤ 荷待ち時間が利益を削る
荷待ちは見えないコストです。
例えば、
1時間待機しても、
その時間に対する料金を請求できないケースがあります。
結果として、
- 売上は計上される
- 利益は出ている
ように見えても、
実際の生産性は低下しています。
理由⑥ 空車回送が多い
帰り便が確保できず、
空車で走る時間が長い場合、
- 燃料費
- 人件費
だけが発生します。
売上には表れにくいですが、
利益率を大きく下げる原因になります。
理由⑦ 利益率が低い
運送会社の中には、
仕事量は多いものの、
利益率が非常に低いケースがあります。
例えば、
売上1億円
利益100万円
なら、
利益率は1%です。
少し燃料費が上がるだけで赤字になる可能性があります。
今後は「利益」より「キャッシュ」が重要
最近の運送会社経営では、
利益だけでなく
キャッシュフロー管理
が重要になっています。
例えば、
- 売掛金回収日数
- 燃料費
- 車両投資
- 人件費
- 荷待ち時間
などを把握することが必要です。
お金が残る会社の共通点
利益だけでなく、
数字を見える化しています。
管理している代表的な指標は、
- 車両稼働率
- 空車率
- 荷待ち時間
- ドライバー1人当たり売上
- 粗利益率
です。
感覚ではなくデータで経営判断を行っています。
まとめ
運送会社が黒字なのにお金が残らない理由には、
- 車両投資
- 売掛金回収の遅れ
- 燃料費高騰
- 人件費増加
- 荷待ち時間
- 空車回送
- 利益率の低さ
などがあります。
大切なのは、
「売上を見る経営」から「利益とキャッシュを見る経営」へ変わること。
これからの運送会社には、運行データや経営データを活用しながら、利益だけでなく資金繰りまで見据えた経営が求められています。